チュートリアル講演

第7回JAMITチュートリアル講演会
~深層学習の基礎,応用,実装,期待~
コニカミノルタ科学技術振興財団
JAMITハンズオンセミナー連携企画

7月27日(木曜日)午後1時10分から午後3時半 第1会場

座長:
小尾 高史(東京工業大),花岡 昇平(東京大学)

講演1

演者:
田村 哲嗣(岐阜大学工学部)
演題名:
人工知能,機械学習と深層学習の基礎と応用

[抄録]
近年,医工連携の一環として,医療機器の研究開発において人工知能やその関連技術を適用する試みがすすんでいる.特に,最近話題となっている機械学習の一手法である「深層学習」を用いた取り組みが注目されている.深層学習は,音声認識や画像処理などのパターン認識で革新的な進歩をもたらし,他の情報工学領域をはじめさまざまな分野での活用が期待されている技術である.本講演では,これら人工知能,機械学習と深層学習について触れる.はじめに,人工知能および機械学習について概説する.次に,深層学習の学術的・理論的な基礎について概説する.続いて,これらを用いた工学分野での最前線での取り組みを紹介する.最後に,医療分野での適用可能性について述べる.

講演2

演者:
山崎 和博(エヌビディア合同会社 ディープラーニング ソリューション アーキテクト)
演題名:
深層学習のためのGPUシステム構築と研究・開発における運用

[抄録]
近年,深層学習は画像認識や音声認識など,多くの問題において有効な手法であることが示されている.医用画像の診断支援をはじめとする医療系アプリケーションにおける深層学習の有効性についても,大きな期待が寄せられている.深層学習では大量のデータを用いて学習を行うが,演算量が非常に多く,実施に時間を要する.そのため,多くの深層学習向けフレームワークは,高い演算性能を持つGPUを活用し,学習を高速化している.加えて,深層学習における研究の展開は非常に速く,新しい手法や機能が提案され続けている.同様に,新しいGPUや深層学習向けソフトウェアも発表されており,より多くの手法で,より高速に学習できるよう,継続した努力が行われている.本講演では,深層学習に用いるGPUの選定方法や利用可能なソフトウェアについて,最近の状況を紹介する.また,研究・開発用途でのシステム構築から運用方法についても紹介する.

講演3

演者:
木戸 尚治(山口大学)
演題名:
人工知能システムの医学応用とその期待

[抄録]
近年,コンピュータ支援診断(CAD)などの医学応用分野においても人工知能(AI)が大きな話題を集めているが,その中核となる技術は機械学習の一分野である深層学習(Deep Learning:DL)である.DLの可能性を見せつけられた最近の事件としては,2016年にGoogle Deep Mindの囲碁プログラムAlphaGoが韓国の囲碁チャンピオンのイ・セドルに圧勝したことが有名である.しかしながら,この事件は1996年にIBMのチェスコンピュータDeep Blueがチェスチャンピオンのカスパロフに勝利したことを想起させる.当時は第2次AIブームの終焉の時期にあたり,医療診断の分野で期待されたMYCINなどのエキスパートシステムが表舞台から消えていった時期に当たる.現在のDLを中核とするAIの隆盛は第3次AIブームといわれているが,3度目の正直で今回は本物となるかどうか興味の尽きないところである.

写真提供~岐阜市